家族総出で仕事を分担する、
小さなお店ではよく耳にすることです。
御多分に洩れず、物心ついた頃から、寿司屋の手伝いをするのは日常の事でした。
その中でも、寿司いなり弁当のご予約が入ると、ちょっとしたイベントが始まるようなワクワクがありました。
運動会や葬儀用にと、200、300個ほどのご注文。朝の配達に間に合うよう、前日の閉店後の夜中から仕込み開始です。
まだまだ小さい時は手伝える事が少なく、1つ上の兄と仕事を取り合った記憶があります。
最初は簡単な事から。
箱を並べたり、ゴマをふったり、紅生姜を添えたり。
それが学年があがるに連れて、やれる仕事が増えてきます。
父が太巻きやかんぴょう巻きを巻いては切り、母がおいなりさんを作り、兄がそれを箱に詰め、自分が包装紙で包む。
最初はたわいもない話をしながら、なのが、段々と口数が減り、黙々と作業に没頭する。
手が空いたら、やれる事を探し、あうんの呼吸で仕事がつながる。
僕らは目の前の作業をこなすだけでしたが、今思えば、もしかしたら父は家族の絆と小さな幸せを感じていたのかも知れません。
明け方終わった後は、必ずラーメン屋さんで家族みんなでラーメンを食べる。あの味は、忘れられない最高のごちそうでした。
あの頃の味付けを思い出し、二葉ごはんの女将となった母の、手作りおいなりさん。試作を重ねて復活です。
ひじき入りとガリゴマ味の女将のアレンジも加わりました。
二葉ごはんの冬メニュー、「キノコとつくねのみぞれ煮」に添えています。
ぜひお試し下さい。